37℃のグラビティ

そこから15分ほど走り、停止したタクシーから降りると、何も言わずに歩き出した新海の背中を追う様にアタシも歩き出す。


そしてそのまま新海の後について、マンションへと入った。


エレベーターに乗り込むと、新海が最上階のボタンを押し、辿り着いた最上階の角部屋の部屋の鍵を開けたところで、初めてアタシを振り返る。


「あがれよ」


アタシはそれに何も答えず、先に部屋の中へと消えてしまった新海の姿を追いかけた。


ソファーに凭れ、腕で顔を隠す様にして脱力している新海と、リビングの入口で立ち尽くすアタシ。


「そんなとこ突っ立ってないで、座れば?」


新海の言葉に、アタシは新海から少し離れて、その横に座ると直球で訊いた。


「彼女と何かあった?」


クリスマス・イヴという日付と、東京駅にいた新海から想定すれば、大阪にいる彼女絡みである事くらい容易に推測出来る。