「どうして……?」


咄嗟に弱々しい独り言がこぼれ、フリーズする。


電話をシカトすることも考えた……考えたけど。


アタシに架けてくるには、あまりに不自然な日付と時間に、何かあったのかもしれないと、通話マークをスライドした。


「……もしもし?」


『わりぃ……寝てた?』


電話越しに初めて聞く新海の声と、久しぶりもいいところの会話に、思わず緊張する。


「別に大丈夫だけど……?」


『その愛想のない声、なんか久々に聞いた気がする……』


アタシをからかう新海の声は、アタシの気のせいなのか、どこか弱々しい様な……? なのに、相変わらずつっけんどんな物言いをしてしまった。


「ところで、何?」


『これから、ちょっと出てこれねぇ?』


「こんな時間に何言ってんの!?」


動揺する気持ちを隠す様に、アタシは思いっきり呆れ声をあげた。


『だよな……遅くに電話して悪かったな。それじゃ』


「あ、ちょっと」


あっさり引き下がって素直に電話を切ろうとした新海を、思わず引き止める。


「どこに行けばいいわけ?」


無意識にも、そんな問い掛けをしていた。