「新海が彼女と付き合いだしたきっかけって何?」


「一目惚れ」


「どっちの?」


「俺の」


「それじゃあ告白も?」


「付き合う時は向こうから。でも俺一回、振られてんだよね」


「振られた相手を振り向かせたわけ!?」


「別に振り向かせようとして、何かしたってわけじゃない。押してダメなら引いてみろってやつ?」


「そっか……簡単に付き合ったって感じでもないんだ?」


「まあね。学年いっこ上だったし、最初は年下ってだけで振られた」


「えっ? 彼女って年上なの?」


「年上っていったって、ひとつだけだけどな」


新海は彼女の話をする時、らしくもなく、どこか面映(おもは)ゆげで……


その表情から、本当に彼女の事が好きなんだって、面白いくらいよくわかった。