37℃のグラビティ

「マジかよ……」


新海はちょっとウンザリ顔で半笑いしながら、ステージに出て行った。


新海が引いたお題は「好きな人に捧げる曲」で。


おかげで女子達は、新海の選曲中に、はしゃぎまくり。


新海はどんな曲を選ぶんだろう……?


忘れられない彼女へのラブソング?


それとも…


あくまでも「アーヤ」らしい選曲?


そんな新海が選んだ曲は……



偶然にも、アタシが大好きなアーティストの歌で……


誰もが知るくらい大ヒットした曲だった。


歌の内容を言ってしまうと……


「愛してる」という言葉を言えない照れ屋な男の子が、さり気ない言葉で自分の気持ちを歌ったラブソング。


新海の歌声に、最初は大絶叫してた女子達も、歌詞が進むにつれ、静かに耳を傾けていた。


しんみり聴く様なバラードなんかじゃないのに……


新海の声に……歌詞に……曲に……


アタシもみんなと同じくらい……


ううん、それ以上に、魅了されていた。