37℃のグラビティ

みんなの制服姿しか知らないアタシは、クラスメートの私服姿がなんだか新鮮で、思わずキョロキョロしてしまう。


そんな中、さりげなく新海を探してみたけど……


こんな時でも「遅刻魔アーヤ」の姿は、まだなかった。


新海が来ないまま、始まった打ち上げ。


広いパーティールームに好き勝手に座って、まずはソフトドリンクのオーダー取りから。


アタシはいつものお弁当仲間達と一緒のテーブルに座り、アイスレモンティーを注文した。


「そういえばアーヤ、来るって言ってたのに、まだ来てないね?」


「ホントにアーヤ来るのかなぁ?」


誰かひとりが「アーヤ」の名前を出すと、連鎖反応の様に、女子の口から次々出る「アーヤ」という単語。


アタシも「アーヤ」って呼べるくらいのクラスメートでいたかったな……


気軽に新海のニックネームを口に出来る女子達が、なんだかとても羨ましく思えた。