たくさんの好きをキミに

「あっ、あの…これはその……」

悠里くんが持っていたチョコを奪い取り、何て言おうか言葉を探す。

菜々子ちゃんたちに渡す用のクッキーと悠里くんに渡す用のチョコを間違えて同じラッピングにしてしまったから分かりやすいように付箋にそれぞれ皆の名前を書いて、その後貼って……

後ろの方にいる菜々子ちゃんに助けを求める視線を送ったが、「いったれ!!」とガッツポーズをされるだけだった。


今、渡して気持ちを伝えるの…!?

彼の顔を窺うとばっちりと目が合い、だんだん身体の体温が上がっていく。


やっぱり、私には無理だよ…


「…なんでもないから!忘れて!!」

そう言って私は背中を向け、この場から立ち去った。


また逃げてしまった…

菜々子ちゃんにせっかくついてきてもらったのに…


でも、周りに沢山人がいて勇気が出ないよ!!

そもそも悠里くんのためにチョコを用意していたのがバレてしまったことの方が恥ずかしい!!

穴があったら入りたい!!