「はわわわわ…」

「何その声」

顔を真っ赤にして両手で覆い隠す。


こんなことがあっていいのだろうか。
私は今夢を見ているのでは…?


「俺、秋穂のこと好きなんだけど。秋穂は?」

楓馬は私の両手首を掴み、りんごのように紅潮した私の顔を覗きこんだ。


「…わ、私も好き」

そう言うと楓馬は驚いた顔をした後、「やった!」と声を洩らす。



私の好きな人は距離が近い。

それはもうとんでもなく近い。


だけど、

それは彼なりの愛情表現であることが分かった。


そして、次の日から楓馬の溺愛っぷりが発動してしまうだなんて、この時の私は知らない──。




キミの距離感

-end-