「…お前さぁ、馬鹿なの?」

楓馬は私の側から離れ、呆れた顔をする。


「馬鹿って…え?何が?」

「だからさぁ。秋穂今ハグしたり、頭撫でたりするのは好きな子にしろって言っただろ?俺いつもしてんだけど…」


"いつも"?
いつもとは…?

頭の上に沢山の疑問符が浮かび上がる。


理解していない私を見て楓馬が更に深いため息をついた。


「まだわかんねーの?」

楓馬がずいっと距離を詰めてくる。

そして腰に彼の腕が回された。


「俺、こうやって抱きしめたりするの、好きな子にしかしないんだけど…」

頬を赤らめた楓馬が不貞腐れた顔で見下ろしてくる。



「えっと…それはつまり……」


もしかしなくてもだけど――…



「楓馬は私のことが好きでいつもくっついてきたりしてたってこと…?」

「そうだよ」

楓馬の返事に頭が真っ白になった。