「い、いいのかなあ?」

「大丈夫だって!とりあえず場所移動しよ。
俺、遠藤さんが作ってくれたチョコ食べたい」



悠里くんに手を引かれ、やって来た場所は人通りが少ない非常階段の踊り場。

隣同士に並んで腰を下ろす。


初めて授業をサボってしまった…

菜々子ちゃんには連絡しておいたけど、返信のメッセージが『戻ったら報告聞かせてね♡』と返ってきた。


「いただきまーす!」

悠里くんは嬉しそうにしながらチョコを1つ口に入れる。


「ん!美味しい!濃厚でくちどけなめらか!」

「トリュフチョコなんだけど、大丈夫?」

「全然!俺基本甘い物なんでも好きだよ!」

「よかった…」

あの悠里くんが私の手作りを食べてくれている。
1年前の私が見たら驚きのあまり号泣していることだろう…


「ほら、遠藤さんも!」

「え…むぐっ!?」

悠里くんは笑顔でトリュフチョコを私に食べさせてくれる。


「…お、おいしいね」

自分で作っておいてあれだが、我ながら上手くできたと思う。