「私の名前はお前じゃないし。あんた私の母親の前でも同じ態度とれるわけ?そもそも、あんた私の名前知ってるの?」

挑発的な態度で奴を煽ると、なにも言わずに口を閉じる。

「…ほら、知らないんじゃー」

「…り……く…あ」

「は?なに?聞こえない、ボソボソ喋んないで」

「栗原紅愛」

奴の発言に思わず目を見開く。

「栗原紅愛だろ?違うか?」

私があまりにも反応を示さないから不安になったのか、奴がこちらへと一歩足を踏み出すが…

「っ…」