《こんな時間に女が出歩くんじゃねーよ 》

あの時の言葉が脳裏をよぎる。

すると、胃がムカムカしてなにか一言いってやらないと気がすまなくなってしまう。

でも、ここでなにか言っても多分意味不明なことを言う自信しかない。

だからといってなにも言わないのはムカムカが残るのでそれはそれでイライラの原因になる。

そこで、名案を思い付いた私は海で会った男にツカツカと歩み寄る。

それに先に気づいたのは家によく来る男だった。

「ん?紅愛帰る準備できたんか?ほな、いー」

「ちょっと黙って。今用があるのはあんたじゃない」