「呼び出したのはそちらでは?」

ドカっ、と敢えて大きな態度をとる。

職員室のものとは比べ物にならない程値が張る革のソファに、勢いよく沈み、足を組んだ。

「伊達先生……あんたがここに呼び出されたのは何回目かな?」
 
校長も負けじと俺を睨む。

「さあ」

両手を広げて、肩を竦めてみせた。

「ええ加減にせえ!」

そう叫んだ水分の無さそうなしわしわの口から、唾が飛ぶ。

きったねぇ。

「何度注意したら分かるのだ!?君の教育はスパルタすぎる!今回だって、下手したら熱中症で死んでいたかもしれない!松谷くんのことといい、庇いきれんぞ!?」

「へぇー、見捨てられるもんなら、やってみてくださいよ」

ニヤリ、と挑発するような笑みを作った。

「……っ!」

校長の顔が茹でタコのようになり、汗で光沢が増した。
 
校長は逆らえない。

「話はそれだけですか?」

校長はごくり、と唾を飲み込んだかと思うと、さらり、とすごいことを言い出した。

「……君に出勤停止の処分が下った」

「は?」

「いつまでかは分からないが、明日から君はここに来なくていい」

少し怪訝に思いながらも、ここは素直に従っておくことが最適と判断力した。

「それが市の判断なら従うほかないですね。……そこそこの覚悟は必要ですよ、校長先生」

校長がびくり、と震えるのを確認し、ほくそ笑みながら校長室をあとにした。