確かにそうだ。現に僕は死にたいと思っている。オズワルドさんは前にも同じようなことを言っていた。僕が変われたと感じていたのは、全部気のせい?

「まあ、俺はお前が死にたいと思っていても何とも思わん。他人の人生なんかどうでもいいんでね。ただ、死ぬところを見るならとびっきり面白いショーを見せてほしいんだ」

オズワルドさんが震える僕の手に何かを握らせる。それは折り畳み式のナイフだった。

「それで首を掻き切れ。そうしたら辺りに血が飛び散って美しい絵が生まれる」

好きな時に死ね、そう言った後にオズワルドさんは一瞬で姿を消した。リビングに一人残された僕は、ボウッと手の中のナイフを見つめる。これで首を掻き切れば楽になれるのか……。人は簡単に死ぬんだな。

僕はナイフの刃を広げようとして、床に落ちた本を見る。この本は、僕の前世である太宰修也(ださいしゅうや)が書いたものだ。タイトルは、「いつまでも死にたがりの僕ら」。