「この魔法、オズワルドさんが?」

「正解だ」

空中から黒いマントを羽織ったオズワルドさんが姿を見せる。その顔には笑みがあった。僕は驚き、後ずさる。

「どうして?あなたは魔力を奪われたはず……。魔力を失った魔法使いは、簡単な魔法を使うことすらできない。どうしてこんな禁断の魔法を……」

「簡単なことだ。奪われたなら奪えばいい。警察の持つ魔力なんて知れているが、何人もの魔法使いから魔力を奪えばそれは大きな力となる」

得意げに話すオズワルドさんに恐怖を感じる。リオンたちは……。

「あの五人なら、この本の中だ。それよりお前と話がしたくてな」

オズワルドさんが近づいてくる。逃げたいのに体は動かない。オズワルドさんは僕に顔を近づけ、冷たい声で言った。

「やっぱりお前は死にたがりだな。前世でも、今世でも。少し前より明るくなったからって変わったつもりか?人間は変われない生き物なんだよ。死にたがりは一生死にたがりだ」