暗い気持ちが収まらず、ずっと部屋で泣いていた。その間にも秒針の音が時間を知らせ、早くリビングへ行かないと誰かが来てしまうと焦る。

せっかく少しずつ変わっていったところなのに、一体どうしてこんなにも暗い気持ちになるんだろう。今日は執筆なんてできそうにない。絶望的な暗い物語しか、今はこの頭では思いつかないから……。

僕は涙を乱暴に拭い、パジャマから服に着替えてリビングへと向かう。リビングのドアに手をかけると、賑やかなみんなの声が聞こえてきた。

昨日から父さんと母さんは仕事の都合で街に行っている。そのせいか、リビングがいつもより賑やかな気がした。

「おはよう」

賑やかなこの空間に入るのが怖い、と感じながらもドアを開ける。夜に見た夢のようになっていたら、と思ったけれどみんな笑って「おはよう」と言ってくれた。その笑顔が何故か怖い。

「先生!今日はせっかくなので色んな種類のサンドイッチを作ってみたんですよ。ボリュームのあるものからスイーツ系までたくさんあるので、食べてください」