とても蒸し暑い快晴の夏の日。
僕はダラダラと汗を流しながら森の中を彷徨っていた。
小説における定番の展開なら森の魔女とか、妖精とか、何故か同じように森を彷徨う少年、もしくは少女とかに会うやつだ。
でも、現実はそんなに甘くはない。
残念ながら1日彷徨っても、誰とも会わず、森の出口も見つけられない。
お腹は…うん、空いてる。
当たり前だろうけど。
何度か猪とか鹿とかを見かけたけど、武器も無ければ知恵もない。
何より、僕なんかの為に殺してしまうのは、可哀想だ。
昔から、お前は少食だなぁ、もっと食べないと倒れるぞ、なんて言われるくらい少食だから、まだ、餓死を心配する程ではない。
ただ、疲れた。
ずっと歩き回っていたからだ。
手頃な岩に座って、空を見上げる。
容赦なく肌を焦がす太陽を睨みつつ、飛んでいる鳥に焦点を合わせる。
しばらく鳥を眺めたが、何か起こるわけでもなく、自分の無力さを呪った。
「神様、いるのかわかんないけど、もしもいるなら、この馬鹿みたいな状況から助けて下さーい」
なんて呟いてみれば、余計に馬鹿らしくなってしまった。
休憩もほどほどに、徐に岩から腰を浮かし、再び歩き始める。

今日も、成果はなかった。