「無礼をすみません。俺っ」
ベッドの天蓋を乱暴に開けると、ダズ様は真っ赤な顔で私をまっすぐ見る。
ああ。
なんて綺麗な顔だろう。
私の顔が、彼の透き通るような瞳に映っている。 真っ黒だと思っていた彼の瞳は、ブラウンだったのね。
彼は握っていた媚薬を、口に含むと、私に口付けしてきた。
甘い。
蕩けるように甘い口付けだった。
「貴方の言動は全て可愛らしい」
媚薬で汚れた唇が、甘く香って色っぽい。
素敵だと思えた。
「物語なんかじゃないって分かってました。本当の物語では、扇で毒殺するような展開はなかったから。でも、貴方が可愛くて、綺麗すぎて」
「ーー貴方も素敵よ、ダズ様」
甘い唇を指で拭って、私の唇に這わせた。
間接キスですって笑うと、彼がボンッと真っ赤に染まる。
「貴方を好きになることをお許し下さい」
「もちろんです」
「……世界一幸せルートを目指します」
「その言い方は、ちょっと嫌いかもね」
彼の手に触れると、握ってくれた。



