「あらあら、騎士団長さまってば。以外と純粋なんですね」
可愛らしいわ。と笑うと、彼は小さく『くっ』と悔しそうに下を向きながら、両手をぐっと握りしめていた。
「私はただ、推しには常に素敵な姿で居て欲しいだけなのです」
「同じです。私も大好きな旦那さまに、大切に触れて欲しいだけですわ」
プレゼントをメイドに渡し、跪くダズさまに近づく。
「今日はこのまま私と一緒にいてくださいますか?」
「……すみません。無理です」
即答され、悲しくて目を潤ませると、彼は真っ青になった。
「すみません! 推しと同じ空気を吸うと死んでしまいそうです。すみません。公務に戻ります」
慌てて廊下へと飛び出したせいで、ドアを突き破り、倒して逃げていった。
私と同じ空気を吸うと死ぬ?
そこまで嫌っている相手に、なぜあのように耳まで真っ赤にするのだろうか。
この作戦は、結構彼には効くことだけは分かった。
なので、三日後、私は次にこのような手紙を公務中の彼へ送った。
『一糸纏わず、貴方を待ちます』
再び、門を飛び越えるように馬で駆けつけてく他のは、言うまでも無い。



