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「ねぇ、奈央クン……どうしてあの人と仲良いの……?」
初日と言えど、すでに鮎世の鬱陶しさに耐え兼ねた夏杏耶は、風呂上がりの奈央を捕まえて訊ねた。
「あの人って……ああ……あいつか」
「その、あいつです」
タオルで大雑把に滴を飛ばしながら、彼は隣の座椅子に腰を下ろす。夏杏耶はソソッ、とこっそり距離を縮めた。
薄地のシャツから覗く鎖骨と、いつもは前髪に隠された額に、胸がキュゥッと締め付けられる。
水も滴るって、まさにこのこと。シャンプーの匂いも相まってもう、誘惑過多だ。
「今はもうつるんでねぇし、仲も良くない。現に高校入ってから今まで、一度も会ってないしな……つーか夏杏耶、近い」
「ご、ごめん……」
蜜に誘われた昆虫みたいだ、と自分を省みながら、彼に触れる寸前の手を引っ込めた。



