【完】片手間にキスをしないで



直後、ニッと笑って見せた母親に奈央は額を抱える。またか、と言いたげなため息と現状に、夏杏耶は再び首を傾げる。


「……勝手なことすんなよな……」

「だって、絶対本心じゃないって分かってたし。ね?夏杏耶ちゃん」

「え……え?」


そして急に振られた挙句、不格好に目を泳がせた。


「で、どうするの。どうしてもっていうなら、今から探してもいいけど?」


頬杖をつきながら持ち上がる口角。階段で見た奈央の表情と重なって、やっぱり親子だな、とこっそり思った。


「……いい」

「うん?」

「……ッ。夏杏耶はうちで預かる、っつってんだよ」


耳を真っ赤にさせた彼の横顔に、体の中心がキュゥッと締まる。


つまり、これからも一緒に住める……ってこと……?


「奈央クン……!」

「分かった……とりあえず今日は〝荷解き〟に変更。……飯食ってからな」

「うわぁー、もっと素直に喜べよー愚息(ぐそく)

「その呼び方止めろ」