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───『あなたが本当に壊したいのは、きっと奈央クンじゃない』


海理の大学内、アトリエを出た後も、夏杏耶の言葉が蘇る。


隣には奈央の母親が付いていて、これから警察へと引き渡されるらしい。


元暴走族が正義を振りかざすなんて、自分の世界はやっぱり狂っている。狂っていて、面白い。


「ミャオさん」


後ろから呼ばれて振り返ったのは、赤色灯が目を眩ませ始めた頃。チーム内でも長い付き合いである翠川(みどりかわ)が、気力を失くしたように立っていた。


応答する言葉さえ、喉を伝わなかった。


「終わりなんすか……つーか俺たち、そんなくだらない理由でアンタに振り回されてたんすか」

「……」

「答えろよ……おい、答えろよ……!」


バチンッ───!!


響いたのは、ミドリの頬が叩かれた音だった。叩いたのが絆奈だと悟ったとき、悠理はわずかに目を見開いた。