「オイ……いつまでやってんの?気色悪い」
「……あ?離れるつもりなんてねぇよ」
ギュッ、と一層締め付けられる体。歯切れよく紡がれたその言葉に、肩の力が抜けていく。
不思議……いつもなら絶対、心臓がうるさく鳴り響くのに───こんな時は落ち着けてくれるなんて。
私の好きな人は、本当に最強だ。
「ねぇねぇねぇ。なんで僕のこと見ないの?ねぇ、奈央。僕が夏杏耶ちゃんを傷つけたんだよ??」
「そうか。じゃあくたばれ」
「はァ??言われてくたばると思うわけ??そもそもさァ、夏杏耶ちゃんの後ろ、見えてないわけ?これからどうなるか、分かってんの?」
暗闇になれた瞳が、ミャオの動揺を映し出す。それでも奈央は声の方を見向きもせず、夏杏耶の涙を拭った。
「……ケガは?」
「そんなに、してないよ。だいじょうぶ」
「……信用できねぇ」
「えっ、なん、」
「お前そういうの、強がんだろ。いっつも」
「……」



