【完】片手間にキスをしないで



「……はァァ??何なの、何なの??」


しかし麻酔が切れた直後、そんな重みのない蹴りでミャオが倒れるわけもなく───


「ぅ、やぁっ……」

「ほんと生意気。ほんとブサイク。オマエから壊してやろうか」


激昂したミャオの手が首元にまとわりついて、夏杏耶はうめき声をあげた。


苦しい……苦しい……でも負けない。だって、この人はきっと───



「夏杏耶───!!」


首が解放されたのは、ミャオが瞳の奥に殺気をもたらし始めたとき。


「う、ケホッ……ケホッ」


手をつくことが出来ない夏杏耶は、床に伸びて息を整えた。


……あれ、でも今、奈央クンの声が……。


「夏杏耶!!」

「……な、お……く」


無意識に閉じていた瞼。持ち上げると、息を切らして何度も自分の名前を呼ぶ恋人が、湿った瞳でこちらをのぞき込んでいた。


「なんで……早すぎだろ。なんで、」

「悪いな、下手な芝居打って───電話が切れる頃にはもう、ここに着いていた」