夏杏耶は連れられるがまま、コンビニから遠ざかる。
待ってよ、待って……荷物置きっぱなしなんだけど……!!
心の内で叫ぼうにも、当然彼らには届かない。慄く以前に混乱していて、うまく声が出せなかったんだ。
「つーかよぉ、今日は来んのかよ。あいつら」
「あー……なんだっけ、ガオウだっけ?」
「それそれ。ミャオっつー奴が仕切ってんの」
「そういや、最近音沙汰ねーよなぁ。何してんだか。アユセ、なんか知ってる?」
ガオーとか、ミャオとか……今度は鳴き声責め。
やっぱり、まったく糸口がつかめない。一貫してネコ科なのは、何か意味があるのだろうか。
繁華街の真ん中を堂々と行く先頭。そして振り返る彼を見据えながら、夏杏耶は首を捻った。
……この人は、纏う空気が他とは違う。目が合うだけで、身が締まるような感覚を覚えてしまうほど。
「さーね」
フードの中でクスッと揺れる笑みが不敵さ満載で、思わず鳥肌を立てた。



