【完】片手間にキスをしないで



だってそれは、奈央に求めていた反応そのものだったから。


「あ、れは……不可抗力だよ。静には申し訳ないけど、ちゃんと謝ったし……」

「何言ってんの。男にとってはラッキースケベみたいなもんだよ」

「……早く謎解かなきゃ」

「ハハハッ、やっぱ夏杏耶ちゃん、俺には冷たいなぁ」


一瞬、静に妬いている?なんて錯覚してしまったじゃないか……ばか鮎世。


表情はうまく読み取れないけれど、声色はいたって平静。いつものようにヘラリと笑っている。


「それで……どこに行くつもりなの?もしかしてもう解けた?」


夏杏耶は繋がれた手を振り払いながら、フードのなかを覗き込んだ。


「まぁ、大まかな場所の見当はね」

「えっ、本当?!」

「うん。たぶん、あそこ」


あそこって、図書館……?


コンクリート調のキャンパス内で、今日は特に異色を放っている。


周りがお祭り騒ぎの中、その場所だけは日常を保っていたからだ。