【完】片手間にキスをしないで



俺と夏杏耶ちゃんが、あとどれくらい〝繋がれている〟か───


笑みを含んだ鮎世の言葉に、夏杏耶はカァッと顔を火照らせた。


もうばか……どうしてまた煽るのさ……。


大体、答えは分かりきってる。「別に」、「んなわけねぇだろ」の2択に違いない───と、思っていたのに。


「だったら悪いかよ」

「……え、」


淡々と放つ奈央の視線は、(もろ)い心臓をいとも簡単に貫いた。冷たいようで芯の籠っている瞳に、夏杏耶はさらに頬を染めた。


え、え……つまり、奈央クンは嫉妬を……?


ガコンッ───


いよいよ脳内がキャパオーバーになる寸前。後ろでエレベーターの扉が開かれる。


「きゃっ……?!」

「うぉ、」


と、同時。乗り込む人の波に押され───


「わぶ……ッ」


夏杏耶は見事、〝正面〟の身体にダイブした。