[(リツ)視点]

 
 自宅に戻ってからというもの、俺は(ツムギ)先生のことしか考えられなくなっていた。自己紹介の時のあの緊張してる顔、ラーメンの代金俺が払うと言った時の困り顔。そして、自己紹介の後の笑顔。可愛かった。あんな人が彼女だったらなーなんて思っていた。

でも、(ツムギ)先生は、可愛いし優しそうだから彼氏とかもういるんだろうなー。はー。俺が(ツムギ)先生の隣にいて、支えれたらなー。...こんな叶わないことを願っていても、虚しいな。

そんな時携帯が鳴った。携帯の表示を見ると3年1組担任の雅史(マサシ)から電話だった。俺はすぐに電話に出た。

「はい、もしもし。(リツ)です」
『もしもし、(リツ)!俺、(ツムギ)先生を狙おうと思います!』
「は、はあ?!」

つまり雅史(マサシ)は、(ツムギ)先生に目をつけ、俺に戦いを挑んできたわけだ。

『だって、(ツムギ)先生可愛いし、若いし笑顔素敵だし、優しそうだし...。奥さんにしたら支えてくれそうってことに(ツムギ)先生のこと狙っちゃうからな!』

「は、はあ...。」

『じゃ、電話きるな!また入学式の日になー!』

 そして、電話はぷつっと切れた。いや、こんなくだらんことで電話してくんなって。雅史(マサシ)は、大学からの友達だった。だが、雅史(マサシ)は、女癖が悪く、彼女がいてたとしても、浮気をする。挙げ句の果てに、俺に出来た彼女を奪ったりしていた。最低な男だ。まさか、またあいつが俺の好みな女性を奪おうとしてるなんて...。(ツムギ)先生が雅史(マサシ)に傷つけられる前に何とかしなくては...。こうしちゃいられない、入学式の日に(ツムギ)先生と電話とメアド交換をしなくては!

そう思うと、まだ日にちはあるが俺は早く寝た。