理仁のアパート前に着いた。
理仁が先に部屋に上がる。

部屋に上がろうとしない私を振り返ってきた。

「入りなよ」

今日はこれ以上一緒にいたい気分じゃない。

家帰って一人で考えたい。

「私帰る」
「今一人で家帰っても何も解決しないでしょ」

理仁が私の腕を優しく掴んだ。

「ちゃんと話し合おうよ」

そう言う瞳が、どことなく冷たい。
私は乗り気になれない気持ちを抱いたまま、部屋に上がった。