ずっと話そうとしない私に気に掛けるような目を配る。

「理仁くんの話、したいんじゃないの?」

そう言いながらモツ煮をそれぞれの器に盛ってくれる。

私は静かに頷いて口を開いた。

「理仁の考えてることがさっぱり分からないんです」

コトンとモツ煮が私の前に置かれた。
食べながら話を進める。

「『好きだよ』とか『大切』って恋愛対象以外にも言いますか」

そう言って高尾さんの顔を見た。
高尾さんは宙を見ながら答える。

「俺は恋愛対象以外には使ったことないな」
「ですよね」

ピーマンの肉詰めも運ばれてきた。

狭いカウンターがだんだん余計に狭くなる。

「俺、2杯目注文するけど何か飲む?」とメニューを渡してくれた。

ウーロンハイにする。

「理仁は私のことは完全に女友達で、準ミスのことが本当は好きなのかなって思ってたんです」

高尾さんがドリンクを注文してくれる。

ピーマンの肉詰めを食べる。
これもまた美味しい。

「でも告白されて付き合わなかったのが不思議で、何考えてんだろうって」

高尾さんはうんうんと頷き続ける。

「そうだねえ」と切り出した。

「俺、理仁くんじゃないから分かんないけどさ、理仁くんも自分の気持ちが整理できてないんじゃないかな」

私を見た。

「キープしてるっていうより」と続けた。

「環ちゃんのことが、好きで大切っていうのは間違いなく本心だとは思うよ」

腑に落ちない。