「信用してやってくれないかな?潤、すごい奴なんだ」

世人がそう優しく言い、静香の瞳が揺れる。迷っているようだ。また心を閉ざさないうちに、と潤は人気のない場所まで静香を誘導する。

「綺麗……」

潤の連れてきた場所に、静香は初めて優しい表情を見せた。潤が連れてきたのは中庭だった。園芸委員が頑張ってくれているおかげで、中庭には美しいチューリップの花がいくつも咲いている。

重くなかなか話しづらいことも、動物がいたり植物がある部屋では少しずつリラックスをして話せることがある。それをわかっていたので潤はこの場所を選んだ。

中庭には、お昼を生徒がここで食べられるようにとテーブルと椅子が置かれている。潤は静香が話しやすいようにと斜めの位置に腰掛け、静香が話してくれるのを待つことにした。

春風がザアッと音を立てる。少し前まで風が吹くたびに寒くて凍えてしまっていた。しかし、今はこの暖かい風が心地いい。椅子に座って数分、静香が口を開いた。

「お兄ちゃんは、小さい頃からトラブルをよく起こす人だったの」