『一郎!おい、一郎、聞いておるのか?』

「ん? あぁごめん、父さん」


とある夜。定期的な父への報告の中でも、ぼんやりとしていたようだ。


『なんだか、最近おかしいぞ?何かあったのか?』


鋭い一言に、ゔっ、と口籠る。

あったにはあったが⋯⋯自分の親に恋愛相談なんてできるわけがない。


『留学してそろそろ三ヶ月になるが日本が恋しくなったか?』

「――いや」


的はずれなソレに言葉を濁しつつ、ふと考え直す。

しかし、僕と同じように変わり者の父。そんな父も、母のハートどうにかを射止めて結婚したわけだ。


参考程度に聞いても損はないはず⋯⋯

やっぱり言ってみるのもありだろうか⋯⋯?


そう改めてしまう辺りが、僕の残念と言われる由縁なんだろう。


「⋯⋯友達へのプレゼントを考えててさ。女の子なんだけど、受け取って⋯⋯くれなそうで」


“受け取ってすらもらえない”ということは、情けなくて言えなかった。イジられキャラで通ってきた僕だが、一応プライドというものもある。