この台詞も週に一度は言われている。

初回で抱きついてしまったのがいけないか?
あの平手打ちの跡はなかなか消えてくれなかった。

講義堂を出る彼女を見送りながらも、次の戦略を考える。

渡すプレゼントをことごとく拒み、豪華なランチやディナーにも興味を示してくれない彼女。

困り果てているのも事実でもある。

彼女が付き合ってくれたのは、怪我をさせてしまった週末の、一度きりのランチのみだ。


「結構有名で美味しいところだったんだが⋯⋯僕が粗相でもしたんだろうか」


“猪突猛進”で、友人たちからも変わり者呼ばわりされる僕は、やっぱり変人なのだろうか?

この、留学生生活。僕は人生の壁というものにぶち当たっていた。

――残念なことに“語学を学ぶ”という目的からどんどん遠ざかっている事にも気づいてもいなかった。