それから僕たちは、大学のそばの自然公園を、会話を楽しみながらゆるやかに歩いた。

手をつなぐこともなく、ありきたりな会話を重ねるだけの。どの講義が好きだとか、苦手だとか。どの教授が人気だとか、誰がお付き合いをしているとか。

そんな、他愛もない話をするだけの散歩。

このデートは、彼女からの希望だった。

――というよりは


『何デートなら僕とデートしてもらえるだろうか?!』


大学の講義堂で泣いて迫ってしまい、人目を気にした彼女が、致し方なく⋯⋯というような感は否めないが。それでも、僕にとっては万歳三唱ものだった。

大きな湖と、美しい芝生、そして洗練された遊歩道が魅力的な公園。

そんな、絵画のような風景の中で、白いワンピースを揺らして、微笑む彼女。

僕の表情筋はもうドロドロの型なしだ。

やってきた水鳥に餌を上げたり、露店で軽食を食べ歩いたり――彼女が作ってきたお弁当を食べて「うまい」と微笑むと、彼女はふにゃりと恥ずかしそうに顔を綻ばせる。