約束の日の1時間前。僕はすでに待ち合わせ場所である大学前を右往左往していた。


「――本当に、公園で散歩なんかで良かったんだろうか。やっぱり高級レストランとかのほうが――」


全くもって、落ち着かない。

けれど、それは最初のほんのわずかのうちだけで――


「すみません、おまたせして⋯⋯」


彼女の姿を目にした途端、心配していた気持ちは一気に霧散した。

とうとう、天使がお迎えにきなすったのかと思った。


「⋯⋯どうしました?」

「あぁ、いや、本当に来てくれるとは思わなくて⋯⋯固まってしまった。嬉しくて」