「俺、守るなんて口にして結局何も出来なかった。入間なんて誰でも倒せる弱さだったし、さくらは俺を一度も見ない。何で、何で俺は。」
樹は吐き出す様に思いを口に出し、逃げる様に病院を出て行った。
息子の後ろ姿を見つめていた父は
「大丈夫だ。美絵子。そうだろう?」
そう呟いて廊下の椅子に座った。
しばらくすると部屋からお母さんが出てきた。
「時枝さん、すみません。どうやら男の人がダメみたいで。来ていただいたのに申し訳ないのですが、あの状態じゃ会わせる訳にはいきません」
「そうですか。わかりました。樹には伝えておきます。お母さん、ちゃんと寝てくださいね?お母さんが倒れたらお嬢さん困ってしまいますよ」
「ありがとうございます。本当にありがとうございました。」
「では、また」
走り去って行った息子とどう話をしようか考えながらお父さんは病院を後にした。
