「お待たせ」
「うん、行こ」
手を繋ぎ家まで残り10分程度
キキィーッ
黒いワンボックスが目の前に止まる。
あの光景に似ているがアイツはセダンだった。
後部座席から二人組の若い男達が降りて来て
「ちょっといいかな。可愛いお嬢ちゃん」
「えっ?」
繋いでいた手を後ろに引かれ、樹くんが背中で私を隠す。
「何か用すか?」
いつもの樹くんではないみたいな低い声が響いた。
「兄ちゃんじゃないんだわ。悪いね。お嬢ちゃんに用があるの。ちょっとこっちに来てくれる?」
私に向けて男の手が伸びてきたその時、
グイッ
「いてっ」
「てめぇ、ふざけんじゃねーぞ」
目の前で男達2人が樹くんに向かい拳を振り上げていた。
「いやっ」
怖いけど樹くんがやられちゃう、そう思った瞬間
