ー屋上ー
心地よい風が吹く屋上は放課後だからかさくら以外誰もいない。
(抜けて来ちゃった。樹くん戻ってきたかな?)
ひとりでボーッと遠くの山を観ていた。
「見つけた」
「キャッ」
不意に後ろから抱きしめられた。
「何してるの?体調悪いの?」
耳に息がかかるほど近くでそう言われ、くすぐったくて体を捩る。
「ち、ちかいよっ」
「可愛い。顔、真っ赤」
「もう、見ないで」
懸命に下を向いて隠そうとしたら、
グイッ
背の高い樹くんと一緒で目があった。
顎に添えられた綺麗な手
「体調悪そうには見えないけど、何かあったか?」
心配そうな顔になんだか言いづらくて
「ううん、樹くんがいなかったからつまらなくて抜けて来ちゃっただけ」
