「とりあえず座って、落ち着こう」
あの小瓶を見てから私はあの時の事を一瞬で思い出し震えが止まらないでいた。
「さくら、俺を見て」
見上げると樹くんが眉毛を下げてこっちをみている。
「大丈夫だ。俺がいる。絶対あいつの所なんて行かせないから。信じろ?なっ?」
そう言いそっと抱きしめてくれた。
私が泣き止むまでずっと。
トントンとリズムよく背中を叩かれて、子どもの頃の様な安心感を覚えた。
涙で歪んでいた視界が次第に落ち着きを取り戻そうとした時、
プルルル_ プルルル_
家にある固定電話が鳴いた。
「俺が出るよ」
「ううん、大丈夫、出れるよ」
「もしもし」