裏庭のベンチにひとりの男の人が座っている。
黒いパーカーにデニム。
あの後ろ姿。
樹くんだ。間違いない。
ずっと空を見ている樹くん。
すぐそこに樹くんがいる。
それだけでまた涙が出てきた。
あと少しで触れられる距離にいる。
あぁ、好きだな。わたし。
貴方がだいすき。
そっと後ろから抱きしめた。
突然の出来事で固まっている樹くん。
涙を流しながら抱きしめた樹くんの肩幅はやっぱり大きくて、いつもの樹くんの匂いにまた涙が溢れた。
肩に顔を埋めて樹くんの存在を確かめた。
そっと腕に触れた大きな手。
肩から顔はあげずにその手を掴んだ。
その時樹くんの肩が上下に震えた。
時折ウゥッと声を漏らしながら、さくらの両腕を濡らした樹くんの涙。
その姿を見て近藤は安心して病院へと入って行った。
