先生からは逃げられない






1年経つと、どうにか慣れてきた。





告白してくる子達はいたが、冷たくされて引き下がらない子はいなかったし、その子達が周りにも言ったのだろう。少しづつ告白してくる子達が減ってきた。





大人に成りかけている彼女達は純粋でいて未熟で、慣れれば扱いはそう難しくなかった。






ほとんどの子達は...







就任してから何年か経ち1年生の担任を任された。






ある朝、交通指導の為学校近くの大きな交差点にいた。
この交差点は5本の道路が交差していて、一番大きい道路は片側づつ2車線と右折用車線がある。




生徒数が多いので、同じ方向から来る生徒は同じ道からこの交差点を渡らなければならない。





この交差点にいつも2人の先生が立って交通指導をする事になっていた。





俺は、学校側の角に立ち徒歩やバス、電車通学で来る子達の交通指導をしていた。





ある日、交差点の向こう側で自転車通学なのに自転車通学の生徒達が使ってはいけない道路にいる生徒を見つけた。





彼女は自転車から降りて周りをキョロキョロしている。






何か探しているようだ。






制服のネクタイの色から1年生なのがわかる。





注意しようと交差点を渡る事にした。






長い信号待ちをしている時、向こう側の彼女の表情が変わったのが見えた。





にっこりと微笑むとカバンがカゴに入ったままの自転車を置いて小走りで走り出した。





向かった先には、腰の曲がった小さなおばあさんがいた。





おばあさんはゆっくりと杖を使いながら歩いていた。
そこに近寄って行って何か話しかけている。





『知り合いなのかな?』





彼女はそのまま、おばあさんと一緒に大きな道を横断した。
おばあさんをとても気遣いながら。





おばあさんが道を渡りきると、少し話してからおばあさんに手を振っている。





また長い信号を待ち、元の場所へと横断すると自転車にまたがり学校とは逆の方へと走りだした。




何分かして、自転車通学者が使う道に彼女の姿が現れた。




俺は彼女が学校の正門へと消えて行くまで、目で追っていた。





その日から交通指導の日はなんだか彼女の事が気になるようになっていた。




毎回、彼女は同じおばあさんの横断を手助けしている。




彼女を見かけるようになって2ヶ月が過ぎた頃、1年生なのに校舎内で見かけた事が1度もない事に気がついた。




うちの学校は1学年につき1校舎が使われている為、気がついてないだけだろうとは思ったが、その日からは探すようにさえなったのに、1度も見つけられた事はなかった。





何の理由もなく自分の受け持ちでもない一生徒の事を他の先生に聞くわけにもいかない。




悪い事をしているわけでもないのだから注意する事もできない。




まず、自分の担当の場所の向かい側の道しか彼女は通らないのだから挨拶すらできないのだ。




なんだかジレンマのような気分に苛まれた。