どういう事だろう?
先生は私を恋愛対象には見ていないはずだし。
現に告白して振られた。
私の合格が嬉しかったからつい抱きしめてしまっただけで、深い意味はないのだろう。
そう思う事にした。
あれからの先生は、前と変わらない様子だったので、あの時の私のリアクションが間違っていたんじゃないかと心配さえした。
推薦組みの合否や専門学校への受験組が賑わいだしている。
先生の取り巻きも前より減っていっていた。
綾ちゃんは専門学校を受験する様で、私の悪口を言っていた子達も自分の受験で忙しく、もう悪口を言われる事はなくなった。
ある意味、過ごしやすくはなったのだが、もう合格した私としては、学校に来る意味さえないように思えた。
周りにも進路が決まった子達が増えていき、緊張した空気が半分、リラックスした空気が半分になった頃、先生と星野先生が結婚するという噂がみんなに知れ渡る程になっていた。
噂を聞いて泣いている子達もちらほら見かけた。
それでも、先生も星野先生もその事について言及する事はなく、何人かの生徒が聞いたようだが、教えてはくれなかったようだ。
ここまで知れ渡っているのに否定しないと言う事は本当なのだろう。
私は、先生を諦める努力をする事にした。
努力をすると決めても、そんなに簡単な事ではない。
何をどうしたら忘れられるのかもわからない。
でもこんな気持ちを毎日抱えて生活していくのも辛い事だ。
卒業してしまえば、先生と毎日会えなくなる。
そしたら、少しづつ気持ちも落ち着いて、いつか忘れられるだろう。
大学に行けば友達も新しくできて、新しい出会いの中に好きな人をみつけられるかもしれない。
未来の事を考えると少しだけ明るい気持ちになれた。
