「本日から立羽中学で技術科を担当させていただきます。八神海琴です。よろしくおねがいします!」
私の声は職員室に響いた。この春等々私は中学の先生になることが出来た。中学の先生になることは子供の頃からの夢だった。自己紹介も先生方から拍手を頂き一安心…と思ったのだが、1人。ただ1人だけ拍手をせずにこちらを見て唖然としている先生が居た。ここからは少し遠くて名札が見えないが、何か見覚えのある顔つきだった。

他の新任の先生達も自己紹介が終わったので、自分のデスクへ行き持ってきた荷物を軽く整理することにした。数分経ってひと段落着いたな。と一息着いた時私と同じく新任の先生になる同僚の伊澄先生が「八神…先生ですよね?さっきの自己紹介で知ってるかと思いますが伊澄です!デスク隣ですし仲良くしましょうね!」とフレンドリーに声をかけてきてくれた。「はい!ぜひ仲良くしてくださいね!」と答えた。すると「あっ!わたしも入れて欲しいです!!あっ、えっとおふたりと同じく新任の一ノ瀬舞です!」と、とても人なっつこそうに話しかけてきた。そのまま3人は楽しく雑談を交わし、タメで話し合えるような仲になった。最中1人の先生が私の背後を通り過ぎた。チラと見るとその人は先程自己紹介の例の先生だった。その人の名札には "紫吹翔真" と記されていた。

私は驚いた。世の中はこれほど迄に狭いのかと。

驚いた私は2人の話が筒抜け状態になった。すると「八神先生…?何かあった?」と心配そうに声をかけてくれた。私はまさか…ね、と思い「あっ、大丈夫。気にしないで」とだけ答え話に戻った。

雑談は終わりそろそろ教室に向かわないといけない間が近づいてきた。どんなクラスなのかと少し好奇心を膨らませながら準備をしていると、「おい、海琴 。」と背後から声がした。聞き覚えのある声。懐かしく安心する声。声だけで誰か分かった。振り返る前に私はふっと笑い「何?翔真。」と言い振り返るとそこにはやはり"紫吹翔真"が立っていた。

昔と変わりない笑顔で。

というのも私と紫吹は小学校から中学校迄同級生だったのだ。特に中学の頃は仲良くしてもらっていた。そう言えば2人で「将来は教師になりたいな」なんて話してもいたが、2人ともその夢を叶え同じ中学で働くことになるなんてことは予想もしていなかった。



私たちは8年ぶりに再開したのだ。



プロローグEND