春になり、私は高校生になった。
入学式、当たり障りのない自己紹介を考えるのが春休み中の最大の課題だった。「好きな食べ物はマカロンです」なんて言った日には、可愛こぶってると、レッテルを貼られ、「休みの日はアニメ鑑賞してます。」とか言えば、オタクと認定されるだろう。新しい学校、新しい人間関係、失敗は決して許されない。
そして、お決まりの自己紹介の時間がやってきた。自分のことに精一杯で、クラスの人の自己紹介など半分も聞いていない。
けれど、1人だけ興味をそそられた人がいた。私の一つ前の席。紺野 憂太 最近ハマっている漫画に出てくる推しに名前が似ていたからだろうか、
「初めてまして、紺野憂太っていいます。中学ではバスケ部で高校でも続けるつもりです。趣味は、漫画とかゲームとか色々です。よろしくお願いします。」
バスケ部ってだけで、少し近づきがたい印象ではあったが、 雰囲気が凄い好きだと思った。第一印象は良かった。

そして次に私の番
「佐藤 ひなた です。中学では、卓球部に入っていました。高校ではどの部活に入るかまだ悩んでます。趣味は音楽を聴いたり、お風呂に入ったりすることです。一年間よろしくお願いします。」
中高生の趣味、毎回首位にくる「音楽を聴く」そして、女の子らしさも出したいお風呂。考え抜かれた完璧な自己紹介だった。完璧なはずだったのに、