私とピン球

「は……?何の冗談?」

言ってから後悔した。

そりゃそうだ。

そんなの、ありえない。

「いや、あの、その……」

ああ、言い訳が見つからない。

恥ずかしさで頬が赤らみ、全身か火照った。

「そっか、そうなんだ」

しばらくして、諦めた響きの声が聞こえた。

信じたの……?

「それなら、僕は諦めるよ。だけど、一度、キュウスケくんに会っておきたいな」

へ……?

桜木先輩の意図が全く分からず、恐る恐るキュウスケを差し出した。

その瞬間、バキッ。

「……っ!!」

破裂音とともに、キュウスケが無残にも潰された。

「何が、何がキュウスケだよ!馬鹿にしやがって!」

桜木先輩は荒げた捨て台詞を残し、帰っていった。

「キュウスケ!!」

すくい上げたキュウスケは、もう、キュウスケでなくなっていた。

「……っぅ」

悔しさと悲しさの涙が込み上げてきて、そのまま、走って体育館を飛び出した。