そう言って、結芽は僕を見る。最初、結芽に「2人きりの時はありのままの自分でいていいか」聞いた時、結芽は「良いよ」って答えてくれた。だから、僕も……。

「良いよ」

僕が微笑むと、結芽は嬉しそうに笑った。

「実は、私……好きな人がいるんだ」

そう言って、結芽は僕の手を掴む。

「誰?」

「教えない!」

「何それ」

結芽と僕は、笑い合う。

僕らに向かい風が吹いても、2人でなら前に向かって歩いて行けるような気がした。