「……僕、どうしたらいいんだろう……」

僕は、女の子。だから、女の子らしく生きなきゃいけない。でも、女の子らしく生きるのが嫌なんだ。

「……じゃあ、私の前だけありのままの自分でいることから始める?それで、少しずつ信頼出来る人に話してありのままの自分でいれるようになろうよ」

結芽は、そう言って僕の手を掴む。信頼出来る人……今のところ、信頼出来るのは結芽と瑪瑙ちゃんだけかな……。

「……うん」

僕が微笑むと、結芽は満足そうに笑って頷いた。

「……あ!そうだ……宏って、イラストって描いたりする?」

「描くけど……」

「私も良く描くんだ!」

そう言ってスマホを取り出すと、結芽は絵を見せてくれた。結芽の絵柄に、イラストに入っているサインは瑪瑙ちゃんのものにそっくりで……。

「私、瑪瑙って名前で活動してるんだ」

「嘘……結芽が瑪瑙ちゃん……?」

僕が驚くと、結芽は無言で首を傾げる。

「僕、ひろって名前で活動してるよ」

そう言って、僕は瑪瑙ちゃんの創作キャラのイラストを見せた。結芽は「偶然だね」と微笑んだ。

「……宏。私……宏と2人きりの時はありのままの自分でいることにしたんだ……良い?」