物音一つない、静かなリビングで
女の人のすすり泣く声だけが響く
少しの沈黙の中
深いため息をついた類が
肩を震わせて泣いている女の人の肩を持って
自分の体からそっと離して
ゆっくりと上半身を起こした
「前も言ったけど
俺にはもう絶対に手放したくない
超大事な人がいるんで
麻倉さんの気持ちには応えられないっす」
女の人の目をまっすぐと見て言う類
小さい頃からいつも一緒で、付き合いが長くて
だからこそ類の事よく知っていて
類の色々な表情だって今までたくさん見てきた
少し離れていても分かる、類の真剣な表情──
何何?
どーゆー状況??
超、大事な……人……???
キィ……
扉がこれ以上開かないよう
取っ手を押さえていた手に力が入ってしまって
扉が小さな音を立てて、少しだけ開いてしまった
その瞬間、ソファにいる二人がこっちを見た
