「はぁ、まったく──ん? そうだ、朱里」
「え、なに?」
「ちょっと気分転換に箱を開けてくれるっていう噂、確認しない?」

 手を打ちながら李津は朱里に近づき、笑顔で提案した。だが、その提案に朱里は全く乗り気ではないらしく、考えた後に首を横に振ってしまう。

「いや。私は興味無いから、別に……」
「噂を確かめるのは口実。あんた、少しは外を出歩いた方がいいよ。顔色悪いし、休めてないんでしょ? 少しは気晴らしになると思うよ」

「ほら」っと言いながら、李津は朱里の手を引いて噂の林へと向かった。