私には、小さい頃の記憶が無い。なぜかというと、私が事故に遭ったから。
今年から高校生生活がスタートする。
たくさんお友達が出来るといいんだけれど…

 4月1日。

「信乃~!早く学校に行かないと遅刻しちゃうよ~?」
「ちょっと待って~!今急いでるから!」

初日から寝坊しちゃった…身なり完璧にして高校デビューしようと思ってたのに…

「ほら急ご!まじで遅刻しちゃう!」
「う~寝癖が~!待ってよ~茜ちゃん~」
「寝癖は後で私が直してあげるから早く!」

一緒に登校してる女の子は私の親友である石原 茜(いしはら あかね)。
中学生の頃から仲良くしてもらっていて、少しお母さん気質がある優しい親友。

 学校に到着しクラスを確認すると、茜と同じクラスで良かったとそっと胸を撫で下ろした。
新しい教室に入ると、たくさんの生徒がすでにグループが出来始めていた。
友達ができるかと不安がっていた時、背後から「おい。」と声かけられ振り返ってみると、金髪のピアスも付けてる如何にもヤンキーだと思われる男の子が立っていた。
あまりにも身長が高くて怖がっていた私に「チビ、そこどけ。通れないだろうが。」と言ってきて、怖くなった私はとっさに謝りながらそこをどいた。
この先、本当にこのクラスでやっていけるのか不安でしかなかった信乃である。