記憶ゲーム

そして数日後。


誰も食べなかったケーキが痛み、ハエがたかっていることに気がついた。


私はケーキをゴミ箱に捨てた。


そんな生活と続けていても毎月収入があったから、ちゃんと仕事はしていたんだと思う。


学校前行き、教団に立って、授業を行う。


ただ、その間にも私の思考は常に妻とアキナへ向いていた。


だから、生徒たちがどれだけ騒ごうが、授業を抜け出そうが、私の目には映らなくなっていた。


そしてもうすぐアキナの12回目の誕生日が来るという日だった。


その日私は帰宅後ニュース番組を見ていた。


横になり、ぼんやりと耳だけ聞いていたそのとき、小学生の少女が誘拐されたという事件が耳に入り、体を起こした。


もしかして被害者はアキナではないかと感じたのだ。


しかし、被害者の少女はすでに解放されていて、アキナとは似てにつかぬ顔立ちをしていた。


ホッとしてまた横になろうとしたが、せっかく体を起こしたのだからと、そのままニュースを見ることにした。


深刻そうな表情で女性ニュースキャスターが事件のあらましを解説している。


『犯人は40代の男で、女の子を洗脳して自分のお嫁さんにしようと思ったと自供しており』


なんてやつだ。


私はそのニュースを聞いたとき腹の底から胸糞が悪くなった。